ドラマーイズインマイルーム

　変なの。そんな板を叩くより、その棒の動きの方が面白いわよ？　あ、そっか。知哉は棒を振ってくれる相手がいないから、その楽しみがわからないのね。あたしは無理よ？　その棒、あたしが振るには大きすぎるもの。
　棒は家中に何本も転がってるから、たまに捕まえて噛んだり蹴ったりする。同じ木なんだから、マタタビの匂いでもすれば、もっと楽しいのに。
　床に落ちてる棒をちょっとつついてみる。ころっと少しだけ転がった。つまんないわね。もっとコロコロしてくれたら遊んであげるのに。もういいわ。
　この部屋も問題なし。じゃあ、最後に寝る部屋に戻りましょうか。
　あたしの寝床は、ふわふわのクッション。シンプルでスタイリッシュな、黒地に白の細い線がたくさん入った柄。あたしの自慢の3色の毛並みがよく映えるのよ。いいセンスよね、知哉。最近買ってくれた、しっとりとしたムートンの敷物もいい感じ。
　その隣には、知哉の寝床。大きくて四角い。知哉はふかふかのお布団に挟まって寝るから、2枚乗っかってる。あたしの寝床とお揃いの縞模様よ。お揃いにするなんて、可愛いところあるじゃない？