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ブーツをモタモタ脱いでるから、イラッとしてしっぽを絡めて足にグルグルまとわりついてやる。だって、外の変な匂いがするの嫌なんだもの。さっさとあたしの匂いをつけてあげなきゃ。
「おいおい、脱げないだろー」
文句を言いながら、知哉はニコニコしてる。嬉しいんじゃない。
やっとブーツを脱いだ知哉が、両手を伸ばしてあたしの両脇を抱えて抱き上げる。
「聞いてくれ、はな。アルバム制作決まったぞ」
ふーん。何でもいいけど、知哉が上機嫌ならいいわ。でも、両脇持ったまま揺すらないでくれるかしら、って苦情を言うと、あたしのお尻を支えて抱きしめてくれる。そうそう。それが正解よ。
「そうかぁ、はなも嬉しいかぁ」
どうでもいいって言ってるでしょ。ほんと、男って話を聞かないんだから。そんなだから、知哉はモテないのよ。
「次のミーティングで曲のセレクトするけど、みんな面白いの作ってるみたいだぞ」
はいはい、って仕方なく返事をしてあげる。知哉はあたしに頬擦りをしながらリビングに向かう。知哉はあたしよりずっと大きいから、リビングまでの廊下はすぐに抜けちゃう。
「俺も気合い入れとかないとなー」
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