ドラマーイズインマイルーム

7/10
前へ
/10ページ
次へ
 ブーツをモタモタ脱いでるから、イラッとしてしっぽを絡めて足にグルグルまとわりついてやる。だって、外の変な匂いがするの嫌なんだもの。さっさとあたしの匂いをつけてあげなきゃ。 「おいおい、脱げないだろー」  文句を言いながら、知哉はニコニコしてる。嬉しいんじゃない。  やっとブーツを脱いだ知哉が、両手を伸ばしてあたしの両脇を抱えて抱き上げる。 「聞いてくれ、はな。アルバム制作決まったぞ」  ふーん。何でもいいけど、知哉が上機嫌ならいいわ。でも、両脇持ったまま揺すらないでくれるかしら、って苦情を言うと、あたしのお尻を支えて抱きしめてくれる。そうそう。それが正解よ。 「そうかぁ、はなも嬉しいかぁ」  どうでもいいって言ってるでしょ。ほんと、男って話を聞かないんだから。そんなだから、知哉はモテないのよ。 「次のミーティングで曲のセレクトするけど、みんな面白いの作ってるみたいだぞ」  はいはい、って仕方なく返事をしてあげる。知哉はあたしに頬擦りをしながらリビングに向かう。知哉はあたしよりずっと大きいから、リビングまでの廊下はすぐに抜けちゃう。 「俺も気合い入れとかないとなー」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加