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子守り
「いらっしゃい」
衛星都市の路地裏の、下水の臭いがすぐそばに。貪欲さの証左に引きずり込まれたガラス細工風船、切り取り線と喫茶店。
ウェイトレスからメニューを受け取り、ざっく、ざっく、すっく、すっくと影たちが行進曲を口ずさむ。
「夏に狂え。」
「夏に狂え。」
「そうして回収した人格を背負って、打ち捨てられた線路を行け」
朽ちて、満ちて、現代の貝塚へと向かう、影たちの夏。
枯れ葉の山で、せいたかのっぽは今日も自分の死体を探している。
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