プロローグ

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プロローグ

思えば私は、ずっと選択することを恐れていたの かもしれない。 どちらかを選べばもう片方は失うことになる。 選択とはそういうものだ。 そもそも、今までが可笑しかったのだと思う。 どちらかを選べずに過ごした日々が。 誰かが"人生とは選択の連続だ"と言っていたっけ。 この選択が正しいのかそうじゃないのか、今の私にはまだ分からない。 ただ一つだけ確かなのは、これでやっと私は前に 進めるんだと言うこと。 諦めたわけじゃない。 やけになったわけでもない。 そう、これは幸せになる為の選択だ───。 待ち合わせ場所に着くと、流石に緊張から手が 強張った。 恥ずかしい。 まるで子供みたいだ。 ふっと息をついてお店のドアを開ける。 一歩足を踏み入れた私にはもう何の躊躇いも なかった。 ───さあ、別れ話をしよう。
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