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式鬼人形の肉体を構成する再生細胞ーーハルクは、独特の振動を受けると緑色に光り、その再生力を発揮する。独特の振動とは、どんなものなのか?
「それは梶浦学園の創始者梶浦よう子氏が作曲する弦楽曲にみられる独特のハーモニーに顕著なのです」
攻撃的なゴシックハーモニー、ある音楽雑誌ではそう評価された。
この評価がされる以前、闇市のワクチン・カルテルオメガは、闇市を殲滅しようとする政府が得ている民衆の支持を拭う為に、逆にオメガへの支持を取り付けようと、ヒトラーがワーグナーと演説を組み合わせて民衆を操作した手法を真似て、高揚感のある音楽と演説との組み合わせによる民衆の操作を試みていた。
梶浦学園では、これに対抗する為、ワーグナーとは逆に、心を安らげる音楽を中心としたアイドル・グループ・シグマを発足させたのだった。
心穏やかなメロディと、ハルク細胞を活性化する小刻みなリズム。
偶然だろうか、この二つの組み合わせがある曲を完成させた時、ウイルスに対抗するワクチン以外のもう一つの手段が完成したのだーーー音楽による免疫力のコントロール。この手法を開発した梶浦よう子は闇市を牛耳るオメガの標的となった。
ーーーシグマは全身全霊を以て梶浦先生を御守りする。この時、シグマに属するアイドル達は心に決意したのだった。
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