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「ただいまー!!」
ドアを開けると同時に、大量のショッパーを玄関に
置いた私は、奥に居るであろう同居人を呼ぶように
声をかけた。
ゆっくりと近づく足音。
それは特に急ぐ様子はない。
「おかえりー。
今日もずいぶん買い込んだね。」
ふわりと緩い笑顔を浮かべて私の前に
現れたのは、猫みたいな目をした可愛い可愛い
男の子。
───直君だ。
「直君も運ぶの手伝って!」
「仕方ないなぁ。
後でご褒美ちょうだいね?」
「分かってるって。」
そう言ってショッパーの半分以上を預ければ
直君はまたふわりと笑う。
「約束だよ?さっちゃん。」
まるで猫が喉を鳴らしてるみたいな、そんな
甘い声で直君は囁いた。
本名、櫻子である私の名前を"さっちゃん"と
呼ぶ唯一の人。
それが私の同居人。
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