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恐る恐る顔をあげると、怪訝な顔をした男の人。
少し私より年上っぽい。
メガネが似合う切れ長な目をしたクールな外見。
ちょっと冷たそうな印象だけど……。
小脇に抱えた大きめな茶封筒。
ワイシャツの首元は、第一ボタンを外して首元が寛いだ装い。
……正直、すごくカッコイイ人と思う。
こんなかっこいい人、この会社にいたんだ……。
「アレののぞき?」
呆れた顔を、ちらっとオフィスの中へ向けた男の人。
アレとはもちろんオフィスで乱れまくってる先輩と後輩に違いない。
「ちっ、違います!誤解です!」
なんでこんなかっこいい知らない人に誤解されなきゃならないのよ……
『もー!』って、頭かきむしって叫び出してしまいたい。
「じゃあ、こんなとこに潜んで何やってんの?」
…別に秘密にするようなことでもない。
私は大きなため息をついた後、ゆっくりと口を開いた。
「………自分のデスクに用事があるんですけと、とてもじゃないけどオフィスに入れなくて、どうしようかと……」
「……で、こんな隅っこで途方に暮れてたと。そういうことか?」
男の人の言葉に、私はこくりと頷いた。
「………仕方ないので、近くのファミレスででも時間つぶして出直そうかと考えたりしてましたけど……。」
なんせ、いつコトが終わるのかなんて盛り上がっている二人にしかわからない。
さすがに職場で二時間も三時間もアンアンしないだろうとは思うけど、それでも、ここで終わるのを待つほど神経は図太くない。
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