氷の女王と野獣

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 ―――常に腹の立つ男だと思っていた。  学生の頃からずっとそうだ。  やればできる男なのに、本気で何かをしようとはしない。  彼を取り巻く仲間はそんな彼を王のように奉り、何もしない王の代わりに動く。  まるでライオンの(おさ)のような……男。  ―――蘇芳(すおう)(たかし)    私とはまったく真逆の性格なのに  なぜ、こんなに惹かれるのだろう。  だからあの時、私は学校の屋上で聞いたのだ。 「蘇芳、おまえはどうして……」  私のいくつかの質問にアイツは一瞬驚いたような表情をしたが、鼻で笑うとこちらに近づいてくる。 「宗苑(しおん)、おまえ頭はいいけど本当に……」  ノイズがかかったようにその答えが聞こえない。  私が聞き返そうとすると、蘇芳は私の顎に手を添えると優しく口づけをした。
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