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4.
" Memories 回顧録4 "
振り返ってみれば、姉との関係は希薄だったと思う。
たった二人きりの姉妹だったのに……
実を言うと私は姉のことがすごく苦手だった。
両親はこんな不出来な私のことを可愛がって大切に育ててくれた。
そんな両親だから姉のことももちろん愛し慈しんでいたことは
見ていて知っている。
姉は両親からすると、親戚からもご近所からもそして幼い頃より
学校関係で先生たちからも、鼻が高い娘だったに違いない。
だけど私が姉のことを好きだったのか、愛していたのか?
と聞かれてもyesとは言えない。
両親自慢の姉を好きでいられないなんて自分は何て
ねじ曲がった人間なのだろうと、少し悩んだ時期もあった。
けど今なら分かる。
決して私のほうに問題があったというわけではなかったことを。
振り返ってみれば、私は姉からやさしくされた記憶がない。
それどころか、場面場面で意地悪と思われるようなことを
されていた節がある。
それはあからさまなものではなく、ちょっとした日常の言葉の中に
棘を含ませるっていう手法だった
例えばこんな風だ。
一時期編み物に嵌っていた私に、編んでいるセーターを見て
『それいいじゃない、私にも編んで』と姉は言った。
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