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信じてもらえないかもしれないがうちには龍神様がいる。
『坊や、今日は雨が降るから傘を持って行きな。』
水晶のツノを持つ黒龍が頭の上でふよふよ浮いている。
「別にいいよ。」
『何を言う。龍神の予言が信じられないと言うのか!』
足元を這う土色の地龍が吠える。
「はいはい、持てばいいんでしょ持てば。」
『坊や、坊や、イチゴはないかな?』
緑色の立髪を持つ風龍が首に巻きついてくる。
「帰ってきてからね。」
適当にあしらえば不服といった感じで消える。
僕がこんな生活を送るようになったのは亡き祖父のせいだ。
祖父は死ぬ前に宝珠を手渡しこういった。
「お前に龍守護の素質がある。後は龍神様に指導して立派な守護者になるんじゃ。」
そう言い残し、息を引き取った。
両親は普通の一般人で龍は見えていない。
それなのに僕だけがコミュニケーションが取れ、こうして独り言を呟くように生活している。
正直いって普通じゃない。
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