2 黒い狼

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2 黒い狼

 今、街では、こんな噂が流行っていた。 『真夜中に外に出ると、黒い狼に食われるぞ。』  実際、そんな噂嘘だろうという人が食べられたらしい。警察も、詳しくはわからないようだ。 「へえー。そんな噂があるの。」  昼、私はファミレスに行って、退治屋の友達に話を聞いていた。(こんな時代に退治屋なんて···。) 「ねえ。面白そうっしょ。」 「そうだけどねえ。やめたほうがいいよ。」  夜なんて、みんな寝てるし、食べられるわけないよ。 「そんなことないかもしれないじゃない。」  友達は、くるりと後ろを向くと、こう言った。 「あの人の友達、食べられたらしいよ。」 「え?マジで?!」 「マジよ。」  そら、ご愁傷(しゅうしょう)さま。 「いやそれだけ?もっとあるっしょ。」 「いいや、巫女として、これしか言うことがないわね。」 「いいいや!なんかもっと言おうよ!」 「いいいいや!言わない!」  私達は、終わりがなさそうな言い合いを続ける。(いや、私達が終わりを作ってないだけがか。) 「コホン。それで、黒い狼を倒してもらいます。」 「あんたがやれよ。私は、(はら)うのが専門よ。」 「じゃ、私は仕事があるのでー!」  ちょ、ちょっとぉ!
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