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『カタリ、そろそろ起きてください。遅刻しますよ』
眠っている神崎語を覗いては、誰もいないはずの書斎に声がした。はじめはふつうに語りかけていた――が。
『そうですか。起きないならしかたないですね。では――燃やします。貴方の大切な本を灰にしてしまいましょう、ひとつ残らず。掃除する手間が省けてよかったじゃないですか』
物騒な物言いに、嫌でも目が覚めるというものだ。
「相変わらず容赦ないな……っていうか、お前も灰になるぞ」
『いえいえそれほどでも。これでもまだ、ぬるま湯程度だと思ってるくらいなんですけどね。それよりカタリ……いい加減寝室で眠るように生活改善したらどうです?』
「そこはスルーかよ。いや、ここが一番落ち着くし楽だし」
『だらしないのはもう病気ですね。もし特効薬があったとしても、効果無し意味無しの無駄遣いです。嘆かわしい。それよりいい加減、修復する職人探すか、能力身につけなさい』
「お前なあ。起きたばかりの俺を攻めるなよな」
苦笑しつつ、床に散らばった本を拾い集めアンティークの本棚へ戻す。
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