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――残されたのは心地よい静寂と、書斎机に置かれた、翡翠色の本だけ。 小さなため息。 『窓を閉め忘れるなんて、予想通りで面白味もありませんが。帰ったら……楽しみですね。やはりいじる相手がいないと快楽は得られませんし』 きっとさぞかし疲れて帰ってくることだろう。たいていこの物語の森に引き籠もって仕事してるか眠ってばかりいるから、運動不足解消になるし、むしろ感謝されてもいいくらいだ。 それまでは少々夢を見ることにしよう。 この物語の森で。 泡沫の夢を。
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