私は愛を嗅いでいた…

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私は愛を愛せた 「よし!R子さん、あとは男性とフツーに愛し合えるか、試すんだ。ほのかに思いを寄せていたYさんに、身も心も委ねてみなさい」 W氏がこうR子に指示を出したところで、U子はリビングを出て行った。 それと入れ替わって、Y氏がリビングチェアから立ちあがり、ゆっくりとソファに寄って行った。 *** 「R子ちゃん…、オレはずっとキミに惹かれていた。地味だがとても清楚だ。仕事中は目をきりっとさせて、大人の魅力を感じていたよ。でも、どこか近寄りがたくて…」 「Yさん…」 「…今、キミがここで全部さらけ出してくれたんで、やっとキミのことがわかった。好きだよ…、R子ちゃん…」 「私…、私、ずっと人の愛を嗅いでばかりで…。やっとこの年になって、自分の卑しい心を矯正できたんです。…今日からはもう、自分の愛する心を愛せるようになったんです!」 「R子ちゃん…」 Y氏は一旦立ちあがると、ソファにR子の体を優しく横たえ仰向けにさせたあと、服を全部脱いだ。 彼はすぐ、彼女の体と唇にそのまま自分のそれを重ねた。 二人はねっとりと舌をからませ、長い接吻を交わしながら、互いに体をすり寄せ合っている。 「ほら、わかるかい?オレのカラダがキミに感じてるんだよ」 そう言って、Y氏はさらに体をR子にこれでもかというくらいに強く抱きしめた。 「ああ…、ステキだわ💛人にホンキで抱かれるって…。幸せ…」 R子は目はドロンとさせて、体の底から湧きあがってくるような快感に、全身をウナギのようにくゆらせるのだった。 その後、二人はW氏の眼前で、愛し合い、果てた。 世間の人間からしたら、何のことはない、男と女のごくフツーなセックスだった。 だが、R子にとっては、人生30数年を経てやっとゲットできた至極の時間以外のなにものでもなかったのだ…。 *** それから30分後…。 R子はU子宅からの帰路、W氏の運転する車中にいた。 「先生…、私、なんて感謝したらいいのか…。何だか、急に体が軽くなったような気がするんです!」 まだ興奮冷めやまぬ様子のR子は、文字通り感謝感激で心がはち切れんばかりだった。 「それはね、アナタが心の中に自分で長い間ため込んでいた、ぬめりを取っぱらえたからだよ」 ”ぬめりか…。確かにそんなものだったのかもしれないわ。私がずっと心の中に抱え込んでいたものって…” 「…とにかく、逆療法の荒療治だったが、あなたの症状は治まったはずだから。まあ、1か月程度経ったら一度来てもらって、様子をうかがいますよ」 「はい!ホントにありがとうございました…」 R子は自宅アパートの前まで送ってもらったW氏の車が視界から消えるまで、手を振り続けていた…。
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