旅のあとに

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「…どうかしました?」 「自分のことのように喜ぶんだなーって」 笑顔でいる理由を聞かれて、わたしは元気いっぱいに答える。 「三木先輩!神様はいるんですよ」 ぽかーんとした三木先輩に、奇跡の大発見をこっそり教えることにした。 「お願いしたら叶いました!」 それを聞いた三木先輩は、まさか、と漏らす。 わたしは笑顔で喜びを噛み締めて頷く。 二人なら効果は倍増。 「…なるほどねー」 「三木先輩も恋人が欲しいときは言ってください!」 「そうだな。…まあ、考えとくよ」 ひらひら手を振った三木先輩がドアを背に隠れかかる。うっかり見惚れていたのをいいことに三木先輩は振り返った。 「叶うといいな」 きょとん。首を傾げるわたしにエールが送られる。 「今度は自分の願い事、しっかり叶えてもらえよ」 笑いながら三木先輩が壁の向こうへ消えていく。 だんだん速くなってくのを感じて胸に手を当てた。頭にまだ残ってる京都の残像。桜の花びらがゆらゆら揺れて宙を漂って、わたしの足元へ落下した。 柔らかい陽気な光に包まれる。 春の夢物語。 …言ったら驚くかな。 でも。 三木先輩が知っている、わたしの知らない京都が見てみたい。 京都だけじゃなくていろんな場所でお互いの好きを語り合いたい。 できたてアツアツの物を頬張って、お腹いっぱいになって笑ったりしたい。 むくむくと育った心の蕾が今、綺麗に開き始めている―。 帰ったら香菜に電話しよう。 なんて言おうか迷いながら、鞄に忍びせていたお守りを見つめ微笑んだ。
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