1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
むかーしむかし、あるところに“反兵衛”といういつも仏頂面の男がおった。
ある日のこと、反兵衛はいつものように町へたきぎを売りに出かけた。
その道中、畑の中から鳴き声が聞こえたので目をやると、一羽のツルがワナにかかってもがいていた。
反兵衛に気づき悲しげな目で見つめるツルに、反兵衛は表情ひとつ変えず言った。
「なんだツル、助けて欲しいのか? だが、人様の畑に勝手に入るわけにもいかん。それにお前が興奮しおれをつついてこないとも限らん。これも運命と思い諦めることだ」
そうしてツルに背を向けすたすたと立ち去っていった。
最初のコメントを投稿しよう!