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俺は昨日彼女と別れた。原因はすべて彼女にある。
彼女はいきなりラインで「好きな人が出来た。別れてほしい」と送ってきたのだ。あまりにも酷すぎる。
俺は現実逃避をする為、電車に乗った。行く当てもなくただ、ぼーっと。
俺はいつも彼女を支えてあげていた。彼女は虐められていたので、俺はそれから守ってやった。病みがちな彼女の悩みをいつだって聞いてやった。なのに、それなのに、別れようとか…。
俺は意味もなくただ拳をつくる。思い出しただけで嗚咽が漏れそうだ。
ガタン…ゴトン…と電車に揺られている。ふと、スマホを取り出した。
彼女…いや元カノから連絡が来ていた。
俺は一瞬スマホを睨んだが、すぐにラインを開けた。
こんなことが書いてあった。
――悠へ。
急に昨日はあんなこと言っちゃってごめんなさい。でも、好きな人が出来たから、悠と付き合ってたら失礼だと思って。
いじめからいつも助けてくれたのは悠だったね。相談乗ってくれたのも悠だったね。悠、本当にありがとう。そして、ごめんね。
でも、やっぱりつらいよ。
最期に聞けた声が悠で良かった。
来未より。
彼女はそう、送ってきたのだ。俺は咄嗟に立ち上がりドアに向かった。
早く…早く…!
そう思っていると、アナウンスが聞こえ、プシューとドアが開いた。
俺は開くと同時に駆け出した。
一刻も早く、彼女のもとに行かないと―…
俺は駅のホームから抜け出し、来未の家に行こうとした。
息を切らしながら走る。
早く…早く…早く…!!
人混みの中を駆け抜ける。
あと、一キロ程だろうか…
とにかく、早く走れ!
そう思って、来未の家へ向かう。
息を切らしながら走ったその先に、来未の家が見えた。俺はインターホンを鳴らす。
誰も出なかった。俺はドアを開ける。鍵が掛かっていなかった。
そのまま家の中に入った。来未の部屋に向かう。
俺は来未の部屋のドアノブをひねる。
「来…未…?」
その時にはもう、遅かった。
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