ロボに恋した女子高生

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「確かにロボットだけど、それがどうしたの?」 瑠衣はきょとんとした顔で言う。 「いや、どうしたのって。ロボットだよ!人間じゃないだよ!何で好きになれるのよ!?」 芽衣は、瑠衣の気持ちが全く分からず、少し激しい口調で言う。 「だって見てよ。ロボットがレジに立って接客する時代になったんだよ。じゃあさ、ロボットに恋をしてもいい時代になったってことじゃないかな?」 瑠衣は芽衣の目を見つめて、キメ顔で言う。 「はぁ、あんたすごいよ」 芽衣は、呆れを通り越して、感心した。 「あっ、やっと順番が来た!行ってくるね!」 長かった行列もようやく終わり、瑠衣は満面の笑みでレジに向かう。 「これ、お願いします!」 「はい、ありがとうございます。文庫本が一冊で、百八十円です」 ロボット店員は、非常に流暢な口調で、淡々と言う。 「あのー店員さん、相変わらずかっこいいですね」 瑠衣は上目遣いでロボット店員に言う。 「…早く代金をお支払いください」 少しの沈黙の後、ロボット店員は言う。 「相変わらず冷たいなぁ」 瑠衣はボヤきながら、財布の中から小銭を取り出す。 「あっ、店員さん!これ以外に芥川龍之介の本でおすすめってありますか?」 瑠衣は小銭をロボット店員に渡しながら、突然良い質問を思いついたとばかりに言う。 「そうですね、他にも有名な[蜘蛛の糸]や[鼻]は一度読んでおいて損はないと思いますよ」 ロボット店員はレジ作業をしながら、丁寧に答える。 「そうですか、ありがとうございます!」 瑠衣は笑顔で答える。 「二十円のお返しです。お買い上げありがとうございました。最後にお客様、私のようなロボットが接客をしていることは、町の外の人には必ず言わないでください」 ロボット店員はお釣りを返しながら言う。これは誰に対しても必ず言う台詞である。 「はい、分かりました!」 瑠衣はそう言うと、笑顔でロボット店員に手を振りながら店を出る。 「次のお客様、どうぞ」 今度は芽衣がレジに向かう。
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