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「すみません、こういう者なのですが、少し質問させていただいてもよろしいでしょうか?」
スーツ姿の男二人は、警察手帳を取り出して瑠衣と芽衣に見せた。
「えっ!?警察!?」
瑠衣と芽衣は、声を合わせて驚く。
「そんなに身構えなくて大丈夫だよ。ちょっと質問に答えてもらうだけだから」
二人のうち、明らかに年上の、およそ四十代後半であろう男の警察官が、優しい口調と笑顔で言う。
「はい、何でしょう?」
まだうろたえている瑠衣を横に、芽衣は落ち着いた声で言う。
「二週間ほど前から、隣町に住んでいた二十代中頃の男性が行方不明になっているんだけれど、この人に見覚えないかな?」
上司の警察官がそう言うと、一歩後ろにいた部下の警察官は、一枚の顔写真を瑠衣と芽衣に見せた。
「!!?」
瑠衣と芽衣は、写真を見て、声も出せないほど驚いた。
写真に写っている男性の顔は、古本屋のロボット店員にそっくりなのである。
「どうかしたの?もしかしてこの人のこと知ってるのかい?」
上司の警察官は、二人が明らかに驚いていることに気づき、聞く。
「は、はい。この人にそっくりな人を知っています」
芽衣は少し震えた声で答える。
「えっ!本当かい!?」
上司の警察官は、声を上げて驚く。
「この人とはどういう知り合いなんだい?」
上司の警察官は、優しい口調で聞く。
「この町の古本屋で働いているんです、でも、おかしくて、ただの似ている人かもしれなくて、でもあまりにも似過ぎてて…」
芽衣はしどろもどろに話す。
「どうしたんだい?この人が古本屋で働いているってことじゃないのかい?」
上司の警察官は、訝しげに聞く。
「いや、だってこの人は…」
「待って!!」
芽衣の台詞を遮って、瑠衣が大声を出す。瑠衣の頭には、いつもロボット店員が言っている、自らが働いていることを町の外の人に言わないようにという言葉がよぎっていた。
「あの…とにかく…すごく似ている人が…古本屋さんで働いているんです」
瑠衣は言葉を途切らせながら言う。
「そ、そうか。分かった、ありがとう。今日はもう遅いから、また明日にその古本屋に行ってみるよ」
警察官は、明らかに瑠衣の様子がおかしいと思いながらも、それ以上は言及せず、引き上げた。
二人の警察官の後ろ姿を見届けながら、芽衣は瑠衣に言う。
「ねえ、警察官だったんだし、本当のこと言った方がよかったんじゃないの?」
「でも、店員さんが、いっつも言わないでって言ってたから…」
「だからといっ!あっ、うん…」
芽衣は、俯いて思い惑っている様子の瑠衣を見て、慌てて言葉を飲み込んだ。
「まあ、いいじゃん!私たちには関係のないことだよ!瑠衣はとりあえず、明日からのバイトを楽しんだらいいよ!」
芽衣は、落ち込んだ空気を盛り上げようと、大きな声で言う。
「そうだね!そうする!」
瑠衣も笑顔で答える。
「じゃーまたね!バイバイ!」
「バイバイ!」
二人は分かれ道で、各々の家に向かって別れた。
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