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「お前の言い方が悪いからだろ?」
「ユウキの受取り方でしょ?そんな事言ってないじゃない!」
「お前はそうやっていつも上から言うんだよ!そういう所が嫌なんだよ!」
「ユウキが何度言ってもやらないからでしょ?人のせいにしないでよ!」
また小さな言い争いから、次々とお互いを否定するケンカに発展する。
ユウキが捨て台詞を吐いて、玄関を乱暴に閉めて出て行った。
溜息がでる。
お互い、あの時から気を使って生活していた。
いつか綻びが出る事なんて、分かっていたのに。
もう本当は、お互いうんざりしているはずだ。
傷つけ合うだけなのに、どうして離れられないんだろう。
その夜、ベッドで寝ていると戻って来たユウキが「ごめん」と言って後ろから抱きしめてきた。
涙が出てきた。
安心と、絶望と。
一緒に過ごした分、お互いの存在が大きくて。
ユウキがいない生活が想像できない。
愛ってなんだろう。
幸せってなんだろう。
好きだから、傷つけあっても一緒にいたいのが愛なのかな。
だけど、ヒビ割れた水槽が元に戻らない事も気づいてしまった。
どんなに繕っても、亀裂から気持ちが流れていく。
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