フレーム

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"2人でいても淋しい" つけっぱなしのテレビからは、人気アーティストが歌う別れの曲が聞こえてきた。 フローリングの床に座り込んだままの私は、そんな歌詞と自分の状況を重ねながら、彼との思い出をおぼろげに思い浮かべていた。 "思い出はしゃぼん玉 浮かんでは、消えていく" 狭いはずの1DKの部屋が急に広く、侘しく感じる。 テーブルに置かれた合鍵が、もう二度と戻らないというユウキの意思表示だったんだろう。 最初の頃は優しかった。 私だけを思ってくれて、いつだって幸せだった。 切なさや嫉妬といった恋の痛みですら、愛しさ故に噛みしめた。 付き合って1年目の記念日。 趣味で写真を撮るのが好きな彼は 「毎年記念日に写真を撮ろう」と言って、少し大きなフォトフレームを買ってきた。 「写真?」 「思い出を形にして残していこう。 毎年ひとつずつ増えていくんだ」 ユウキはそう言って、目を輝かせた。 白いフォトフレーム。 寄り添い、幸せそうに笑う2人の写真が1枚飾られた。 「こんなに好きになった人はアミが初めてだよ」 「私も。ユウキを愛してる」 この愛が、どこまでも続くと思っていた。 写真は1枚ずつ増えて、フォトフレームには入りきらなくなって「また新しいフレームを買わなきゃね」なんて言って。 年齢を重ねても、ユウキと一緒にいたいと思っていた。 ユウキも、そう思っていた。
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