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「三枝さーん、上がっていいよー」
「はーい」
私はカウンターを出て、裏に回ると、制服を脱いで、私服に着替える。それから足早にコンビニを出ると、何故か将暉の後ろ姿を探している自分がいた。
「いやいやいや、無いから」
私は苦笑いを浮かべると、帰り道を歩こうとする。そして、後ろ姿を見つけた瞬間、胸が飛び上がった。気づいたら、寒い聖夜の街中をカップルたちを掻き分けて走っていた。
「将暉……!」
将暉が足を止めて、振り返ると、白い息を寒そうに吐く将暉が驚いた顔をした。そして私はハッとすると、どうしようと心の中で叫ぶ。話しかけたのはいいものの、これからのことを考えていない。
取り合えず、立ち止まった将暉の近くにいくと、何とか言葉を絞り出す。
「あ、えっと、鏑木くん。久しぶり、だね」
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