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「あ、えっと、鏑木くん。久しぶり、だね」
久しぶりに真白から呼ばれた「鏑木くん」という言葉に俺はもどかしさを感じながらも「うん」と答えた。
「三枝さんも、久しぶり」
「あ、うん、久しぶり」
俺は唇を舌で舐めながら、俯く。向こうも何も話さず、視線を多方向に動かしていた。真白が悩んでいる時の癖だ。
「三枝さん、あそこでバイトしてたんだ……」
「あ、うん」
「俺、けっこう使ってるけど、全然気づかなかった……」
「普段はお昼だから、夜はあんまりシフト入れてなくて」
「……あー、そうなんだ」
俺はそう言うと、また沈黙が流れる。久しぶりの会話に、何と話せばいいか分からなかった。
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