side A

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「寒くないの?」 「あ、少し……」  真白が苦笑いを浮かべながら言うと、「鏑木くんは?」と聞く。俺も「まぁ、少し」と言うと苦笑いを浮かべた。 「昔から寒がりだったもんね……あっ」  真白がしまったといった顔をすると、俺をちらっと見て、それから反らす。俺は「ふふっ」と笑うと、ちらっと真白を見た。真白が少し驚いた顔をして、それから「ふふっ」と笑う。 「クリスマスだな……」 「……だね」  俺たちは聖夜の街を歩きながら、ちょっともどかしい距離を保って歩く。 ———貴方にが訪れますように。 メリークリスマス。俺は心の中で言った。
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