おいくらですか

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おいくらですか

(付き合う前) 「おはよ」 「おはよーございまーす……」 「どうした疲れてんじゃん」 「んー……昨日飲み会でー……酔っ払って終電逃して帰れなくなって健康ランド泊まってー……」 「あーそりゃ大変だったね」 「いやマジ大変でした……途中記憶失ったしー、健康ランドでも気持ち悪くてずっとトイレこもってたしー、やっと回復したと思ったらゲイのオッサンにからまれるしー」 「エッ?」 「いや大変でしたね」 「……エッ? なっ、……えっ?」 「びっくりしますよね俺も酒で記憶失くしたのはじめてで」 「いやそこじゃな……えーっと、その、オッサンっていうのは……?」 「あー、なんかあ、畳の仮眠スペースでごろごろしてたら変なオッサンに話しかけられてー、最初俺が具合悪そうだから看病してくれてんだと思ってたんですけど、なんかやたら足とか腰とか触られて」 「…………っ!?」 「スキンシップ激しい人だなーと思いながらションベンしたくなったからトイレ行こうとしたらついてこられて、そんで『舐めてもいい?』って言われて」 「…………っ!!?」 「無理ですって言ったら『舐めさせてくれたら5万円あげる』って言われたんですよ」 「そっそっ、それでどうしたの!?」 「いや怖かったんで逃げましたけど」 「変なことされなかった!?」 「いちおう大丈夫でした」 「……ほんと信じらんねぇな……クソみてぇなオヤジもいるもんだな……くそっ……ド変態死ねばいいのに……」 「でも後で惜しいことしたかなって思いました」 「えっ!!?」 「いやだってー、5万ですよ? 5万って相当じゃないですか? PSヴィータ欲しいし……」 「いいいいいいやいやいやいやいやでも、でもそれは、それは」 「『舐めて』だったら知らねぇよ気持ちわりぃよジジイ、ってなりますけど、『舐めさせて』だったらまだよくないですか?」 「えっ!? そうなの!? いいの!? いいの!?」 「だって舐められるだけですよね、そんなん眼ぇつむってれば男にされるのも女にされるのも一緒じゃないですか」 「いやいやいや……でもそれは……えっ、っていうかいいの? えっ……?」 「高岡さんどう思います?」 「えっ、なにが……?」 「高岡さんだったらどうします?」 「俺だったら10万は出すと思う」 「えっ」 「えっ」
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