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「ま、私の話は良くてさ。迫田のことはどうするの? 」
「えっ……あー今度きちんと振る予定。色々不安で、貴弘の優しさに甘えてたんだよね」
私はそう言いながら机につっ伏す。慰めて欲しいだけな自分にも嫌になってどんどん卑屈になってしまう。
「ま、甘えちゃうよね〜弱ってる時に優しくされたら」
「はぁ、ほんとに私最低……」
「大丈夫。栞が最低なら弱ってる時にアタックしてる迫田も最低よ」
「もー由希は強いなぁ」
由希なりに励ましてくれているのが分かる。いつも私には無い考え方を教えてくれる。その強さがいつも羨ましい。
「あはは、そんなに強くないよ。弱みを見せるのが苦手なだけ」
「…由希、やっぱりなんかあった? 」
励まされてるのはこっちのはずなのに、由希の言葉尻がいつもより元気がないように感じる。でも、由希は話してくれない。空元気、みたいな感じがどこかに漂っている。でも、それを隠すように思いっきり優しい顔をする。
「なんもないよ! 」
「そう? なんかいつもより元気ない感じ」
「そうだなぁ。元気だけど、久しぶりに栞に会ったらやっぱ好きだなぁって思っちゃった! 」
「えっ、何っ、告白!? 私も由希のこと好き! 」
いきなりの素直な言葉に驚く。照れながらの言葉には嘘がないとわかる。たまに何かを隠しているようだけど、でもド直球なところがあるから、そしてそれが嘘じゃないと分かるから、大好きなんだよね。
私はオレンジジュースを、由希はコーヒーを飲んで照れ隠しした。
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