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3-2.
顔合わせをした翌日、政恵は息子の竜司に言った。
「あなたはまだ一度もお見合いしたことがなかったわよね?
お見合いを何度かしてみて、相応しいお相手が見つかれば
その方と、そしてどうしても良いお相手が見つけられなか
ったら、その時はあかねさんとのことを考えればいいと思うわ」
数回の見合いであかねとの結婚を認めてもらえるのなら、と
竜司は深く考えることもなく政恵にOKの返事をした。
もちろん決して良い女性がいたらその相手と、などとは微塵
も考えているわけではない。
ただそれで政恵の気が済むのならそしてあかねのことを認めて
貰えるのならと、見合いすることに同意したのだ。
それを聞いた兄の稔は、
「竜司、いいのか?そんな事引き受けて。母さんは
本気だぞ。もしお前に釣り合いのとれた相手が現
れたりしたら、あかねさんを泣かすことになって
しまうんだぞ」と、弟の安易な返事を諌めた。
「大丈夫だって、あかねさん以上に好きになれる相手
なんてこの先現れたりしないし、あかねさんに対する
気持ちには自信ある。彼女を泣かせたりなんかしない。
僕が望まない限り見合いはまとまらないンだしね。
見合いをして母さんが気が済むのならお安いもんさ」
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