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20-3.
「黒崎さんから聞いただけじゃなくて、母さんの肉声で罵倒を聞いた。
耳を塞ぎたくなるような言動だったよ。
あれ聞いたら、誰だって思うさ。
誰がこんなヤツの息子と結婚するもんかってネ。
もう僕は、黒崎さんに家を出るから・・母さんとは縁を切るから・・
結婚してくださいって言うことも出来なくなった」
竜司は項垂れてそう言った。
もう何も掛ける言葉はなかった。
万事休すだな。
せめて今言っておいたほうがいいことをこの落ち込んでいる弟が
この後も誤った選択をせぬように、告げておかねば。
「ところで竜司、急だけど・・まだいつとは決めてないが
母さんが家を空ける日に、知沙子と今の家を出て行こうと思ってるんだ」
「・・・・・」
弟は予想してなかったのだろう、驚くばかりで言葉を出せないでいる。
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