Happiness 幸福というもの

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21. " They left the house. 家を出た"  あかねが慎一からプロポーズを受けていた頃、竜司は家を出た。  その頃、母、政恵は誰とも結婚しないと言った息子の本気を悟った。  それからほどなくして、政恵が友達との2泊の旅行から戻ると 長男夫婦が家を出てしまい部屋はきれいに掃除されていて、息子も孫も いない寂しい空間になっていた。 「どうして?」 夫に聞くと、  「お前がどうしてか判らないから稔達は出て行ったんだよ」  と言う。  「ナニ、そのなぞなぞみたいな言い草、答えになってないわよ」  「お前、本当に判らないのか?  お前が知沙子さんを大事にしてこなかったからだよ。  それしかないだろうよ」  「うんまぁ~、何てことを言うの、あんな気の利かない嫁に どうやさしくしろっていうの。  私がいろいろと注意してやらないと、この家は回っていかないじゃないの」  「だめだな、こりゃぁ」  少しの反省もない妻の言い草に、夫である茂も又長男夫婦に続くように 1ヵ月後に家を出て行ていってしまった。
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