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3-3.
「竜司、お前なぁ・・・。 その見合い何回するのか知ら
ないがあかねさんには内緒にしとけ」
「えっ?そうなの? 僕は黙って見合いするより事情を話し
て見合いの件は知らせておいたほうがいいかと思ってたン
だけど」
「そうだな、母さんがいっちょかみしてるンじゃ知らせるも
知らせないも大差ないかもしれんな。
あまり母さんばかりに気を取られているとあかねさんに逃げられるぞ!
上手くやれっ、あまり気の利く相談相手になれなくてスマン。
俺もあの人にはお手上げだからな。竜司、あかねさん良い
人みたいじゃないか。父さんが竜司にしては良いお相手を
見つけてきたって褒めてたぞ!」
「ありがと、兄さん」
兄貴の心配してくれる気持ちがうれしかった。
竜司は結婚を認めて貰いたい余り、目先のことしか見えて
いないのだろう。
お前がしようとしていることは、時にあかねさんに対して諸刃の剣にも
成り得ることだと気付いているだろうか。
人生の先輩として先を歩く兄は、その自分の心配が杞憂に
終わることを祈るばかりだった。
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