Happiness 幸福というもの

7/70

118人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
4.  " Nonsense 世迷い事 "  竜司は兄からの助言もあったので母から提案された見合いの件を あかねにそのまま正直に伝えるべきか、はたまた兄の言うように 内緒にしておくか随分と頭を悩ませた。  迷っているうち会社帰りにお茶することも憚られるように なってしまったが、いろいろ悩んだ末にあかねに見合いの件を 話すことにした。  久しぶりの会社帰りのデートだった。  顔合わせの日から1週間が過ぎていた。  「すぐに話ができなくてごめん。  あの日は母が失礼なことを質問して申しわけなかったね」 「私のほうこそ、質問(離婚理由)にちゃんとお返事できなくて 申し訳なく思ってます」  「あれから母親との間で悩ましいことがあって、考えがまとま  らずなかなか黒崎さんと話す機会を作れずにいたんだ」  あかねは竜司がどんな提案をしてくれるのだろうかと、ドキ ドキしながら次の言葉を待った。  「実はとんでもなく馬鹿馬鹿しい提案なんだけれど、その  提案を呑めば僕と黒崎さんとの結婚を考えてもいいと母が  言ってるんだ。  あんまりバカバカしいから断ろうかとも思ったんだけど 受けてみようかと思ってる」  「そのお母さんの提案ってどんなコトなの?」
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

118人が本棚に入れています
本棚に追加