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4.
" Nonsense 世迷い事 "
竜司は兄からの助言もあったので母から提案された見合いの件を
あかねにそのまま正直に伝えるべきか、はたまた兄の言うように
内緒にしておくか随分と頭を悩ませた。
迷っているうち会社帰りにお茶することも憚られるように
なってしまったが、いろいろ悩んだ末にあかねに見合いの件を
話すことにした。
久しぶりの会社帰りのデートだった。
顔合わせの日から1週間が過ぎていた。
「すぐに話ができなくてごめん。
あの日は母が失礼なことを質問して申しわけなかったね」
「私のほうこそ、質問(離婚理由)にちゃんとお返事できなくて
申し訳なく思ってます」
「あれから母親との間で悩ましいことがあって、考えがまとま
らずなかなか黒崎さんと話す機会を作れずにいたんだ」
あかねは竜司がどんな提案をしてくれるのだろうかと、ドキ
ドキしながら次の言葉を待った。
「実はとんでもなく馬鹿馬鹿しい提案なんだけれど、その
提案を呑めば僕と黒崎さんとの結婚を考えてもいいと母が
言ってるんだ。
あんまりバカバカしいから断ろうかとも思ったんだけど
受けてみようかと思ってる」
「そのお母さんの提案ってどんなコトなの?」
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