Happiness 幸福というもの

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 黒崎あかね   37才      市役所勤務 元夫 紺野 翔太  37才  ・ 25才~30才までふたりは結婚していた。    笠原 竜 司 33才    ・ 1年前32才の時に中途採用で市役所採用となる。    笠原 政恵   59才 (母) 笠原 茂     65才 (父) 笠原 稔    36才 (兄)     知沙子  36才(義姉) あかねの課の課長   設樂 灯(ともる) 40才      真智子   38才(妻) 設樂 慎一    35才(弟) 元妻 ひかる    32才(元義妹) 笠原 竜司の同僚で合コンセッティング担当 倉本 裕也     33才 倉本がアタックした相手 山口 まさみチャン  22才 。、:*:。.:*:・'゜☆。. :*:・'゜★。、:  1.  " Charming Woman 素敵な女性 "  今日の笠原竜司は少し緊張していた。  黒崎あかねとの交際をあんなに反対し頑なに会うことを 拒んでいた母、政恵が、初めて会ってみてもよいと言い、この度 あかねと母との顔合わせが実現するからだ。  会いさえすれば気立ても良く仕事もでき、テキパキ立ち振る 舞いのできるあかねのことはきっと気に入ってもらえると思っ ている。  これまで散々反対されてきてどうなることかと思ったが、気長に 説得してきて良かったとしみじみ感慨に耽る竜司だった。  33才の竜司は学生時代にガールフレンドはいたけれど これまで結婚を意識して付き合った相手はあかねが初めて だった。  遡って高校、大学と理系は男子ばかりだったため、自然女性と 知り合う機会が極端に少なかった。  就職してからも同じようなもので、以前勤めていた職場に 妙齢の女性は皆無だった。  一年前にこちらの役所に中途採用されたのだが、今の職場も 自分の所属する土木には圧倒的に女性が少ない。  唯一の救いは別の課の事務方には大勢女性がいることだ。  今の職場にいる土木課にひと月に一度は異業種の合コンを セッティングするマメな男がいた。  もちろん灯台下暗しで同じ職場の事務方とも2~3ヶ月に一度 は飲み会やらカラオケ大会という名の下に合コンもどきが 開催される。 そんな合コンを待ち侘びる独身者達の救世主の名は、倉本裕也 という。  男女ともに友人の多い奴で、正直出会いをどこに求めて よいのやら途方に暮れる独身者達からは、かなり 感謝されている。  竜司もそんな中のひとりだ。倉本よ、ありがとう!  あかねと出会えたのはひとえに倉本のお陰だ。  黒崎あかねは独身といってもバツイチという経緯もあり 合コンに参加することはほとんどなかった。  だがたまにメンバーのドタキャンがあった時には緊急要員として 借り出されることがあった。  はっきり言ってチャーミングで仕事ができ、気立ての良い バツイチ37才のあかねはモテる。  そんな数少ないチャンスであかねと話す機会を得た竜司は いつしか彼女に魅了されていった。  声と話し方がとても良い。  こう、一言ひとこと聞き逃したくないと思ってしまうほど 耳に胸にジンジンしみ込んでくるのだ。  話している時の笑顔、表情もとても素敵だ。  自分から動いてみたい、と思ったのは久しぶりのことだった。  倉本の話によると仕事も出来、離婚後は何かと男に言い寄ら れることも多いようだが浮いた噂もなく、気配りの出来る 真面目な女性らしい。  そんな風なあかねの情報を、知り合う前に竜司は仕入れていた。  その頃、上手い具合に倉本にも意中の彼女がいた為、2組 のカップルでカラオケデートなどして竜司はあかねと少しずつ 親交を深めていった。
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