それから

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それから

………あれ以来、どのくらいの歳月が流れたのでしょうねぇ? ………しかし、今になっても不可思議に思う事がありまして。 何故、あの時、あの場所でメスゴリラ2体はこのワタクシにあの様な破廉恥極まりない行為を強要してしまったのかしら? その理由と言うモノが、白日の下に晒された出来事が、その後に色々と御座いまして。 ………それは、ワタクシにとっては、モノ哀しい出来事だったのですけれど。 或る日、お家で内職をしておりますと、テレビから流れて来るニュースで、東京都武蔵野市にある井の頭自然文化園にある池の畔で、女性の水死体が発見されたと言う事件がありました。推定年齢は、30歳から40歳だったそうです。その傍らには、1通の遺書が置かれておりました。 その文面には………。 『………親愛なる日下陽平様。』 『あの時は、アナタに対して破廉恥極まりない行為をしてしまって………。でも、ホントはアナタに抱かれて見たかった。』 『でも、アナタは、こんな私にも親切にしてくれた。私がアナタの身体の上に馬乗りになって、生唾を垂らしたら、それでも、アナタはイヤな顔ひとつも見せないで、呑み込んでくれた。』 『私のお友達が、アナタの勃起もしないアソコをテコキしてても、黙って下唇を噛んだまま、それでも眉ひとつ動かさずに黙っていてくれた。』 『私とお友達と二人がかりでアナタの股ぐらをM字開脚させて、私がアナタの股ぐらを何度も何度も蹴飛ばし続けてた時も、アナタは苦しみながらも耐えててくれた。』 『その時の私たちがアナタに呟いたセリフって今でも覚えてる?』 ………アタシ、今でも覚えてる。 『アンタ、分かってんの?女は、何時もこうなのよ?どうせ、男にとっての慰めモノよ!所詮、男なんて女の事を、単なる性慾処理器くらいにしか思ってないんだから。アンタだって、そう思ってるんでしょ?………何とか言いなさいよ!』 『………何だか反応無いみたいだよ。死んじゃったんじゃないの?』 『図星だから返事出来ないんじゃない?』 ………………………………………。。。 『………何だか段々ムカついて来た。澄ました面しやがって。ヤッパリ殺しちゃおうかしら。コイツ、マジでムカつく。』 『殺してしまうのは可愛そうだよ。だったら、せめて、アタシ達のペットにしようよ。所謂、肉奴隷ってヤツ?首輪付けてさ。鎖で繋いで逃げ出せなくさせて。………で、それでも役に立たなくなったら殺してしまえば良いんじゃない?』 『………………………………………。』 ……………………………………………。。。 『………それでも、アナタは、そんな私達の会話のやり取りを聞いてても、逃げ出そうとはしてくれなかった。』 『………私、アナタと初めて出会った時、自分さえ幸せなら構わないなんて思ってるから、何時も人前で笑顔でいられるんだなんて思ってた。』 『でも、それって、私の妄想かなぁ?』 『ひょっとしたら、今迄に私なんかよりもあまりにもの苦しみを背負って生きて来たらか、笑うしか無いもんだから、そんな笑顔でいられたのかな?』 『アナタは、今迄に付き合って来た他の男とは違う気がする。』 『アナタって、他の人とも違う。』 『アナタって、どんな相手にも優しく手を差し伸べる事の出来る天使の様な人なのかなって思ったの。』 ………………………………………。。。 『………ヤッパリ、私の我儘でそんなアナタを独り占めには出来ないよね?』 『私なんて、生まれて来なければ良かったのかしらね?………実は、私、幼い頃から虐待されてて。親からも。今迄に付き合ってた色んな彼氏からも。でも、死んでしまいたいと思いながら、それでも死ぬのが怖くて。そんな時にアナタと初めて出会ったの。アナタって、何時も人前では笑顔で。それが羨ましくて、でも、悔しくて。憎らしくて。』 『だから、一度で良いからそんなアナタを虐めてみたくて、アナタの表情が歪む姿を見てみたくて。アナタが苦悶の表情を浮かべながらのたうち回る姿を見てみたくて、あんな事をしちゃったの。』 『アナタって、今でも何処かで生きてるのかな。でも、もし、アナタがあの時のショックで、私なんかより先に死んでたら、罪を背負い切れないし。』 『アナタが天使でも、私の事なんて許してくれないよね?だから、私もアナタの後を追います。御免なさい。さようなら。』 ………………………………………。。。
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