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「都築課長の就任を祝って乾杯!」
「「かんぱーいっ」」
その週末、早速課長の歓迎会がお得意先の居酒屋で開催された。
「課長、本社とうちだと全然違うでしょ。慣れないんじゃない。」
仕事中とは違い、少し砕けたもの言いは頼子さん。
「そう言う唐木じゃなかった、橋本さんは営業所が合っているみたいだな。」
「課長と頼子さんって知り合いだったんですか。」
営業の吉田君がどちらにでもなく聞いている。
「同期よ。と言っても研修でしか会わない程度のね。」
「ここに来るまで結婚してたのも知らなかったから、最初似た別人かと思ったし。」
「そう言えば課長は、まだ結婚しないの?」
頼子さん、いきなり課長にぶっ込んだ質問をしてる…
「学生時代からすごく好きで一時期いい感じになった子はいたんだけど、結局振られてさ。その後、何人か付き合ったけど上手くいかなくて未だ独身だよ。」
「まだその人に未練があるんすか?」
吉田君がさらに聞く。
そんなプライベートな事を聞かなくてもと思いながら、気になってそちらに注意が行ってしまう。
「そうだな。未練って言うか、忘れられないんだよな。もう他人の奥さんなのに、彼女以上に好きになれる人がいないんだ。」
私は、その人がとても羨ましかった。
結婚して幸せだろうけど、こんな素敵な課長に未だに思われて…
私なんか誰にも一番として大切にされてないのに。
もちろん家族は優しい。でも26歳の娘は、適度に大人で構い倒すものじゃない。
ましてや妻至上主義の我が家の男ども。
私が一番になるわけない。
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