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――ッ!
瞼を開いた場所は、今夜もまた、大きな桜の木が傍らに立つ店の前。
どうして俺はここに居るんだ?
道を進んで、ここまで辿ってきた記憶がすっかり抜け落ちている。
バイト先を出て、鞄を下げて、アパートまでの帰り道を一人で歩いていた筈なのに。
真っ赤な絨毯。
さっきの映像はいったい何だ?
白昼夢か。いや、今は昼ではない深夜。
夢を見る為には眠る必要があるが、眠った記憶もなければ眠ったと云う自覚もない。
(何がどうなっているんだ……)
胸が苦しくて、手に力を入れて押さえ込む。
夜になると必ず自分はここにいる。
太陽の陰が一切見えない暗闇の時間。周囲の音が消えてなくなった真夜中に。
部屋にも帰らず、寄り道をして。
何度も俺がここへ来る理由。
それが本当に『探し物』だと云うなら、俺は何を『探しに』来ているというのだ。
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