プロローグ

1/2
27人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ

プロローグ

 何かに、誰かに(すが)りたいと願って伸ばした手は、ただ空を切るだけ——  これは、わたしが高校一年生だったころのこと。  当時は、周囲と自分との間に壁を作り、素直に人に甘えることも頼ることもできなかった。  心を開いた相手に鬱陶しがられ、距離を置かれてしまうことを、極端に恐れていたから。    あの人に、出会うまでは。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!