出口寛子11

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出口寛子11

お葬式はこじんまりとしていた。 私はそれで構わないと思うんだけど、みんなはどう考えるのかしら。 お葬式でどれだけの人が来てくれたかがステイタスなんて時代は古いわよね。 でも、五代友厚の映画のお葬式のラストシーンはとても良かったわよ。見た? 号泣よ。 「本日は来ていただき、ありがとうございます。姉も喜んでいると思います」 出口寛子さんの妹さんは、思っていた通りとてもしっかりとしている感じの人だった。 「私も寛子さんと出会えてよかったです」 「これ、、、」 出口寛子さんの妹さんは、小さな袋を差し出した。 「姉の趣味の七宝焼のブローチです。きよこさんへ、と書いてある封筒にはいっていたので、良かったらもらってやってください」 あけてみると、 ガラスのような質感で、春色の明るいきれいな丸いブローチだった。 すごく綺麗。 また涙が出てしまった。 大切にします。 妹さんに挨拶をして帰ろうとしたとき、 見覚えのある顔を見かけた。 「!」 それは、日向くんだった。 (お掃除おばさん①) 日向くんは、受付をしている。 日向くんと出口さん、仲が良かったのかしら。 二人は部署も違うし、出口さんから日向くんの話は聞いたことなかったし。 私は、少し日向くんを見ていた後、その場を後にした。
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