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「僕は園村さんから、あなたの話をたくさん聞いているんです。園村さんは、その……とてもあなたのことを可愛く思っていて子供の頃の話から最近の話まで、僕はいろいろお伺いしました」
父が誰かに浅緋のことを話すなんて、あまり考えられなかったから浅緋は驚いてしまった。
「父が……」
「ええ。桜の話は……笑ってしまった」
「桜?」
「ご自宅の桜が剪定された時に、坊主にしちゃうなんてひどい!と泣いて怒った話ですよ」
お父さん……そんなことまで。
それは事実だ。
園村家の庭にはそれは見事な桜の木が数本植えてある。
春には見事な花を咲かせて、楽しませてくれるのだが、枝が大きくなったのである日剪定が入ったのだ。
桜の剪定は大きく枝を落としてしまうことが多い。
浅緋にしてみたら、大好きな桜の木がほとんど根本からバッサリ切られているように見えたことは、とてもショックだった。
確かにそれで泣いて怒ったことがあったはずだ。多分幼稚園か、小学生の低学年くらいのことだったと思う。
しかし桜は翌年にはまた、新しい枝が伸び、数年後にはまた満開の花を咲かせて、今も園村家の春を彩ってくれている。
「ダメー!と職人さんに泣いてしがみついて、困らせたと聞いています」
「いやだわ……お父さんてば……、あれ……」
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