2.桜の思い出

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「お仕事は、可能ならば続けたいです」 片倉は少し考える様子だ。 「お父様のお手伝いをされていたのでしたっけ?」 こくん、と浅緋は頷く。 「あの、けれど簡単なお仕事しかしていませんけれど」 「来週からはうちのものが園村ホールディングスに伺って仕事をする予定なのですが、その人についていただきましょうか」 「いいですか?」 「あなたがそうしたいのなら。それにそちらに伺うのは信頼できる者ですから」 「はい」 「こちらがあなたの部屋です」 そう言って、片倉がキッチンの隣の部屋のドアを開ける。 実家の部屋とさほど大きさの変わらない部屋に、ベッドやドレッサー、チェストが置かれていた。お揃いの家具のようだ。 「家具は足りなかったら入れましょう。気に入らなかったら買い替えても構いません」 「はい」 白いドレッサーやチェストは女性らしくて可愛らしくて、浅緋はひと目見て気に入った。カーテンも淡いベージュに落ち着いた花柄が素敵だ。 「片倉さん」 「はい」 「お部屋、ありがとうございます。とても素敵で買い替える必要なんてありません」 「良かったです。ベッドは……ここでよかったのかな?」 耳元で、急に低い声で囁かれて浅緋はびくん、としてしまう。
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