3.『政略結婚』

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槙野はそれを一掃してしまった。 そうして、優秀でも登用されていなかった人をどんどん登用しているらしい。 らしい、というのは浅緋はその話を、総務部の同僚から聞いたからだ。 「手腕はね、強引なところもあるけど納得できる、ってみんなすごく期待してる。それに、すごーくイケメンだわ」 気晴らしにランチに行こうと同僚に誘われて、会社近くのイタリアンで美味しいパスタを頂きながら、そんな話になったのだ。 「あんな素敵な人といて、お付き合いしませんかってお話にならないの?」 「あ……」 浅緋が婚約していることは、会社でも一部の人しか知らないことだった。 「あの……私、実は結婚する人が決まっていて」 「あら、やっぱり?」 浅緋は首を傾げた。 「やっぱりって?」 「だって、指輪……」 そう言って、同僚は浅緋の左手をそっと指さす。 気づかれていた。 「はい」 「お父様のご不幸から時間も経ってないし、きっと言いづらいんだろうねって話してたの」 「すみません」 やはり早く報告すればよかった、と浅緋は申し訳なく思った。 「仕方ないよ。で、どんな人?!」 ん……? みんな興味深々で、好奇心に輝く瞳で浅緋を見ている。 「今日、話してくれたらその話聞きたいなって思っていたの!」
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