23827人が本棚に入れています
本棚に追加
「今回社長が就任する時に、ベンチャーキャピタルの資本が入ると聞いて、もう私たちみたいのはクビかなーなんて話していたんだけど、社長はとてもイケメンでやり手だし、そうならなくて良かったねって言っていたところだったの。でも園村さんが片倉さんの婚約者なら、なおさら安心よね」
浅緋にはよく分からない。
片倉は浅緋から見てビジネスの件と、浅緋のことは切り離しているように見えるからだ。
自宅にいても、仕事の話が出ることはほとんどない。
そんなことより、今日はいい天気ですね、とか、このパンは美味しかったから今度同じものを買ってきましょうとか、今日は帰りがとても遅くなるので浅緋さんは先に寝ていてくださいね、とかそんな話しかしていないような気がする。
「ね……優しいって、ベッドでも優しいってこと?」
同僚の1人がそんなことを言うから、浅緋は驚いてしまう。
「もう!何言ってるの!園村さん、そんな質問答えなくていいのよ!」
答えようがない……。
だって、いつも優しいけれど、そういうことはまだないから。
「そういうのって……」
「ん?」
皆さんするんでしょうか?と聞きたいけれど、そんな話をしたことがない浅緋にはそれを尋ねることはできず、なんでもないです!と慌てて首を横に振ったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!