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「知っていますよね?僕の名前」
それはもちろんだ。
こくん、と浅緋は頷く。
「呼んでみてくれませんか?」
改めて言われると、なんだかとても恥ずかしいような気がするのだけれど、確かにこのまま苗字で呼び続けるわけにはいかない。
「慎也、さん……」
「はい」
それだけなのに、浅緋は顔がとても熱くなってしまった。
また、こんな赤くなってしまって本当に恥ずかしい。
「浅緋さん、もう一度呼んで?」
「え?」
「すごく嬉しいんですよ。名前を呼ばれて、浅緋さんにそう呼んで欲しかったんだなって気づきました。思ったよりも嬉しかったので、もう一度呼んでほしい」
そんな風に言われると浅緋も恥ずかしいけれど、片倉が本当に嬉しそうなので、呼んでみようと思ったのだ。
「慎也さん」
今度は顔を伏せないで、ちゃんと呼んだ。
片倉はにこっと笑った。
そうして、浅緋の頭をふわりと撫でてくれる。
「よくできました」
褒めてもらえて嬉しい。
けれど、これでいいのだろうか?
「そういえば、さっき呼ばれましたよね?何か言いたいことがあったのではないんですか?」
そうなのだ。
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