第三項 用語について:地名・暦

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第三項 用語について:地名・暦

〇地名  地名については可能な限り当時の名前を採用した。これは何もこれだけ調べたんだぞ~と主張したい衒学的な話ではなく、単純に「フランス・ドイツ・スペイン」「ライン河・ドナウ河・ウェザー河」と書くよりも「ガリア・ゲルマニア・ヒスパニア」「レーヌス河・ダーウィヌス河・ウィスルジス河」と書くほうが語感がそろう、というだけの理由による。ただ、地理的にイメージしやすいよう、適宜現代の地名を併記した。 〇暦  年代はローマ建国〇年、という記述を用いたが、これは当時の表記としては一般的ではない。紀元前後のこの時期、紀元〇年、という記載方法も当然出来ない。(キリストが生まれたのが、主人公が四〇歳頃の出来事である。)  執政官が二人制でしかも毎年変わるローマにおいては、年代を表すのに、「ユリウス・カエサルとカルプルニウス・ピソが執政官の年」という言い方を用いていたらしい。だが、これを小説で用いても煩わしいだけなので却下した。ローマ建国元年=西暦紀元前七五三年である。  なお一ヶ月についても当然のごとく「三月五日」といった表記を用いているが、ローマの日付は結構面倒だったようだ。一日=カレンダエの日(カレンダーの語源)、五日=ノナエの日、十五日=イドゥスの日、と三つの基準日があり、カレンダエの日から二日目、ノナエの日の前日、などといったとか。そんなもん書いて(読んで)られるか、ということでこれも却下。因みに有名なカエサルの暗殺日として有名な?「イドゥス・マルティアエ」は「三月(マルティアエ)のイドゥスの日」、すなわち三月十五日である。  ついでに七月(July)は「ユリウス」、八月(August)は「アウグストゥス」にちなむ。八月が三十日しかないことに納得できなかったアウグストゥスが、二月から一日をブン捕ったとかしないとか(笑)一月が一年の始まりとなったのは紀元前百年頃のことだそうだ。それまでは三月始まりだった。故に、本来「七番目の月」を意味する「September」が九月に、「十番目の月」を意味する「November」が十二月に、と、二ヶ月のズレが生じている。日付や月については『古代ローマを知る事典』がコンパクトにまとまっていて判りやすい。
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