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第一項 ローマの名前について:女性名
〇女性の名前
女性は個人名を持たない。クラウディウス一門に生まれた女は何人いてもクラウディアであり、コルネリウス一門に生まれればコルネリアと呼ばれる。アントニウス家ならアントニア、オクタウィウス家ならオクタウィア。家門名をとるか家名をとるかは特に問題でなかったらしく、マルクス・ウィプサーニウス・アグリッパの娘は、アグリッピナと呼ばれたり、ウィプサーニアと呼ばれたりしている。
当時の結婚式における誓いの言葉に、「あなたがガイウスのとき、わたしはガイアになります」というのがある。ガイウスは名前の種類で言うと「個人名」だが、実際に個人名から女性名をつけた例は見当たらなかったので、これは単なる象徴的な誓いの言葉なのだろう。ガイアという女性も存在しないが、女性一般を表すときに使われたりはしたようだ。因みに「ガイウス」は日本でいうと「太郎」とでも言うべきだろうか。最も一般的にゴロゴロしていた名前である。
※「ローマの「名前」について」参考文献(敬称略)
塩野七生『ローマ人の物語』(新潮文庫)
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