プロローグ

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プロローグ

昔から時々見る悪夢。 鬼のような形相の男の人が、私に向かって牙を剥き、次の瞬間、喉に言いようのない痛みが走る夢。 真っ赤に染まった視界の中で、その男の人を私から遠ざけて涙ながらに私を見る、もうひとりの男の人。 どくんどくんと心臓が拍動するたびに喉から血が流れ出て、焼けそうに熱い。 「――――!」 意識が消えそうになった時に、私を呼ぶ声がする。 そして私の体は、ふうっとあたたかいもので包まれて、あとは桜の花びらのようなものが空へと巻き上がっていく様子。 まるで自分の死に際を見るようなそんな悪夢を、子供の頃から何度となく夢に見て、今日も飛び起きた。 はあはあと肩で息をしながら、暗闇の中、目を閉じる。今日が、何事もなく平和に終わりますようにと、祈りを込めて――。
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