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「嫌ああああ――――!!」
「カズくん!!」
ゴフッと青い血を口から吐き出して、龍由がその場に頽(くずお)れる。舞白は泣きながらその場に倒れた龍由の横に駆け寄り膝をついて肩を揺さぶった。
「龍由さん! 龍由さん! しっかりして、龍由さん!!」
しかし怪我の状態は酷く、素人の舞白にも分かるくらいに龍由の傷から流れ出す血の量は多かった。
倒れた龍由の腹部からどくどくと流れ出す青い血は、もう、水たまりのようになってしまっている。
龍由の顔は血の気もなく、真っ青を超えて真っ白だった。
怖い。龍由を失うかもしれない。
その恐怖に、舞白は自分の本当の気持ちをやっと認めた。
龍由に死んで欲しくない。
生きていて欲しい。
生きて、舞白と一緒に時を歩んで欲しい。
緋波は関係ない。舞白の心が、龍由ただ一人を求めているのだと、この時はっきりと分かった。
「龍由さん! 龍由さん!! 目を開けて!! 龍由さん!」
青い血で血まみれになった龍由に涙することしか出来ない舞白の肩に和弘の手が食い込んだ。
「立て。お前は俺のものだ、緋波」
無理やり立たせようとする和弘の頬をパシンと叩く。
「馬鹿! 私は緋波じゃない! 舞白よ!! 過去に捕らわれたまま私を見ないで!!」
激しい感情の渦に舞白の中の龍神の力が反応して、天から雷が落ちた。パシンと地面に叩きつけられたそれは、和弘を衝撃で吹き飛ばした。
「龍由さん! 龍由さん!!」
生気のない顔の龍由に縋りつく。過去のしがらみの所為で龍由を失うくらいなら、最初から会わなければ良かった。だけどもう遅い。舞白は龍由と会ってしまった。そして龍由もまた、舞白に出会ってしまったのだ。
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