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2月26日、金曜日の夕方、陽介から突然ラインが届く。
『香奈、お疲れ様。
実は、俺、人生で初めて、ぎっくり腰になってしまった。
軽い椎間板ヘルニアだそうだ。
香奈、俺は必ず復活するからね。それまでは、回復に専念するよ。』
それまでは、陽介と会えないということだ。
香奈は、潮時という言葉がよぎった。
「不倫の終わりなんて、こんなものかもしれない。」
香奈が陽介に出会ったのは、45歳の秋だった。
香奈は飼っていた三毛猫を突然の病で亡くした。
気難しい性格の三毛猫に15年間振り回されながらも、
香奈は、猫の為に、仕事以外の外出も控えるようにしていた。
その猫が居なくなり、せいせいするだろうと思いきや、
香奈は仕事から急いで帰る癖も治らず、帰る度玄関で泣き崩れていた。
「このままでは、ダメになってしまう」
何でもいい、気を紛らわせたいと思い、衝動的に
出会い系サイトに登録した。
そこで知り合ったのが、6歳年下の陽介だった。
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