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すらりと手足が長く、身なりはスタイリッシュで、
巻き毛の癖を活かした、程よいボリュームの長さを保った髪が、
都会的な印象を与えた。
香奈は、出会った瞬間、その男に魅入られた。
「美しい男・・・。」
あれから、3年が過ぎていた。
香奈は今年で49歳を迎える。
陽介は、体力も精力も美しい容姿も、衰えるどころか、
さらに輝きを増していく。
香奈には、そんな陽介が、眩しくて直視できなくなっていた。
「潮時ということ?」
香奈はあえて、声に出して言ってみた。
けれど、その声が自分の胸に響かない。
その代わりに、鼓動が速度を増した。
「とりあえず、今は何とかしなきゃ。」
香奈は、陽介に、
『いつまでも待っていますから、ゆっくり療養してください。』と
返信したが、待ってなどいられなかった。
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