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王だけでなく、周囲に確認するよう目を配った。首を絞めたのは自分自身だが、その痛々しい跡を見せつけると、何人かは青い顔で呻いた。
「ピンチを脱する事ができたのは、それまで行方不明だった私の従者が戻ったからです。
呪術師と宰相殿は、今あかずの間に閉じ込めていますよ?」
「……なに?!」
「この会議に出席できなくさせたのは、申し訳ないですが。また命を狙われても困りますからね」
そう言って口端を吊り上げ、薄く笑った。
「それでは皆さまに、いよいよ証拠をお見せしましょう」
「証拠?」
誰からともなく、ちらほらと声が上がる。
「ここに先ほど言ったダルキニアという村の名簿、亡き母が遺した手紙、ある人物から届いた告発状、そして祖父の日記があります」
言いながらそれぞれを持ち上げ提示する。
「私が調べた結果によると、陛下でいらっしゃるあの方の名前はリアム=コリンズさん。
写真などはありませんが、彼がその人物だという証拠は祖父の日記と、祖父が滅ぼした村……ダルキニアの名簿を見ていただければお分かりになります。祖父の隠し子であったという事実は全くありませんから」
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