♯21.アンディの気持ち

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 日記と名簿を隣りに座る者へ廻し、さっきの鍵と同様に皆が順に手に取って吟味し始めた。その表情は深刻そのものだ。  彼らの様子を目で捉え、王の仮面を被ったリアム氏はとうとう俯いてしまう。 「そして亡き母が遺した手紙、これにも四代目の彼が王家の者ではないと綴っています。手紙はなぜかようですが……まぁ問題は無いでしょう。  また、ある方からの告発状も同様です。これは一度、呪術師(メイガス)によって破られたものを私の従者が復元したものです。一部、箇所についてはどうしようもありませんがね」  母の手紙や告発状について、他者に読まれたくない箇所は敢えて抜き取っていた。全てはアンディの出自を明かさないためだ。  俺がこの王宮から追い出したいのは、あの三人だけ。直接王家の血を引かないという理由だけでアンディが居なくなっては困る。 「……あの、ディラン王子?」 「はい」
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